五十肩
肩の関節包滑膜に慢性的に炎症が起こり、とりわけその腋窩部の癒着と滑膜腔が狭くなることによって、疼痛と肩甲上腕関節の運動制限を引き起こしたもので、正式には癒着性肩関節包炎といいますが、40代以降、特に50代に発病するケースが多いので、昔から五十肩と呼ばれてきました。
痛みがひどい時間は患者様によって多少異なりますが、夜間と寒冷時にひどい痛みに襲われるケースが多く、頸部、前腕、手などに痛みが放散する場合もあります。腕を挙上しようとしたり、内旋、外旋しようとすると激痛が走り、肩関節の運動はあらゆる方向に制約を受け、結髪、結帯など日常生活動作にも支障をきたすようになります。さらに悪化すると、わずかな動きでも激痛が走り、まるで肩が凍りついたようにほとんど肩を動かすことができなくなります。(フローズン・ショルダー、凍結肩)
寝違え
起床時など、ちょっとした首の動作がきっかけとなって頸部に痛みが走り、以後しばらくの間、首が回らない、回そうとすると痛みが生じる状態です。主たる症状が頸部の運動制限と運動時痛なので、痛みの震源地ともいうべき部位は頸部の腱や靭帯だと思われがちですが、そうではありません、痛みの震源地は、むしろ肩甲骨の内側縁の深部にある筋肉群で、これらの筋肉に痛みが発生することによって、交差する反対側の頸部の運動が制限される(右の肩甲骨の内側縁の筋肉が痛いと、頸部の左側の運動が制限される)。そして、制限された方向に首を回旋させようとすると、それに引っ張られて交差した反対側の肩甲骨の内側縁に痛みが走ります。(左回旋に制限がある場合、首を左に回旋させると、右の肩甲骨の内側縁の筋肉に痛みが走る)
肩甲骨の内側縁の筋肉に痛みが生じた原因は、筋肉そのものの問題というより、中枢の指令を筋肉に伝える末梢神経の問題だと思われます。電気に例えれば、ブレーカーが切れると、部屋中の電化製品が使えなくなるように、末梢神経の伝達がスムーズにいかないため、筋肉の正常な動きが妨げられ、痛みが発生します。
腰痛症(ぎっくり腰)
重い物を持ち上げようとした時、腰を捻った時、顔を洗ってる時、歯を磨いている最中にくしゃみをした時などに急に起こる腰痛の発作で、日本では「ぎっくり腰」、西洋では「魔女の一撃」と呼ばれています。疼痛性の側弯を呈したり、腰を伸展出来ないために前かがみの姿勢になりやすいのが特徴です。また歩行や立つこと出来ないほど痛みを伴うケースもあります。
ぎっくり腰の原因には、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎腫瘍、腰椎圧迫骨折など脊椎の疾患や損傷によるものもあるが、脊椎の異常のないぎっくり腰は、筋肉が炎症を起こした筋筋膜性のぎっくり腰と、腸の硬直化とそれに伴う内蔵体制反射に起因するぎっくり腰に大別される。腸の硬直化によるぎっくり腰は、腸を支配している自律神経のバランスが崩れることで、腸の硬直化が起こり、そんな腸の求心性の興奮が対応する筋肉群に影響を与え、筋の過緊張、痛みなどの症状を引き起こすのであります。